”新しい技術が好き”と”企業戦略的に正しい”は別

 モビリティショーの記事を見ると結構な数の”日本企業はもっとEVに注力すべき”って主張が見られるが、実際どうなんだろ?

少なくとも日本では引っ越し・新築時に”数年後にはEVを買うから充電ステーションがあることが必須”で物件を探す人は皆無なんじゃないか?

で、海外のEV普及率(東京電力のデータ)を見ると、日本2%、アメリカ5.8%、欧州12.1%、中国20.0%。新興国は一桁%っぽい。
ただし欧州は”日本の自動車メーカー潰しのために無理やりEVを推進した”って話もあるし、中国はもともと多かった自転車が電動原付に切り替わったのが大きいっぽいので、4輪ガソリン車がオワコンってわけではないのかもしれない。

まぁ確かにこのデータを見る限りたぶんEVの普及率が頭打ちするのはまだまだ先。
だが、水素などの燃料電池・ガソリン代替の合成燃料(e-fuel)などなど、ついでにガソリンがまだまだ現役を続けるとか、EVの普及率の頭がどこかすらまだ未定。それこそ20%くらいで頭打ちする可能性もある。

そう考えると、体力使って小さいパイを奪い合うのが経営戦略的に正しいのか?と思えてしまう。
ついでに言うと、先行者利益ってあるんかね?
例えば現状EVはテスラと中国のBYDがシェアを握っているが、じゃあ例えば来年トヨタがEVを出したとしてどっち買う? 先行者たるテスラ or BYD? 正直日本だったらほとんどの人がトヨタ一択でしょ。
完全に新規の市場であれば先行者利益ってもあるだろうけど、ガソリン車⇒EVみたいな派生形の場合、そこまで美味しくはないんじゃないかと。

そんな訳で”EVの研究開発はしているけど軸足を移すほどではない”って日本企業の方針は悪くはないと思っている。
つか、この手の記事を書いている人って技術大好きすぎて”新しい技術”=”素晴らしい”って単純に考えすぎているように感じるのは気のせいだろうか。